昨年開催した講演会が大好評!
皆さんにも知って頂きたい内容ですので、抜粋で紹介させて頂きます。ぜひ感想などお寄せ下さい

在宅医療の専門医にきく!
「元気な最期を迎えるための家族と医療の付き合い方」
〜いつまでも自宅で過ごせる老後のコツ〜

医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長
佐々木 淳 医師

身体の機能は30歳位から年齢とともに落ちていき、自然に死に至ることを老衰と言いますが、日本で自然死が出来る方は5%しかいません。
例え老衰でも最期の数年は介護が必要です。みなさん憧れのピンピンころり、突然死は15%。
その半分は自殺か事故、寝たきりのおばあちゃんが突然死ぬのも突然死です。

そして圧倒的多くの8割の人は、人生のどこかで大きな病気をして、入院して、リハビリして、そのうち骨折と肺炎で入退院を繰り返し
「胃ろうにしますか?点滴にしますか?」と聞かれ、誰かのケアを受けながら亡くなります。
あまり薔薇色っていう感じではないですね(笑)。


亡くなる前の数年間は、みなさん医療や介護と共に、病気や障害と共に、誰かの支えと共に生きていく。
大事なことは、医療や介護が必要になるまでの健康寿命をいかに延ばすか。
そして医療や介護を受けることになった時、どれだけ自分らしく我が儘に最期まで生きられるか。
そのための準備をしておくことです。

94歳のおばあちゃん。超高齢者ですから丁寧に診察したら病気だらけで、しっかり治療をしたら処方箋は薬だらけ。
うちに来た時、要介護5で寝たきりでした。
「薬飲まなくていいんじゃない?」全部辞めてみたら元気になった。今、要介護2です。

薬は大事ですが、リスクでもあります。入院中の患者さん、5種類超えると転倒のリスクが2倍以上。
日本では後期高齢者は平均7.6種類飲んでいる。飲み過ぎです。世界的には5種類も薬飲ませません。


加齢とともに高血圧は増えていきます。50歳は5割、60歳は6割、70歳は7割、80歳では8割が高血圧。覚えやすいですよね(笑)。
病気というのはその人口の少数派を指すものです。8割の高血圧がおかしいのではなく、2割の血圧低い人がおかしいんですよ。
30代、40代の高血圧は病気ですが、80、90の高血圧は老化です。
老化による高血圧を薬で下げると何が起こるか。死亡のリスクが上がります。これは血糖値、コレステロールも同じです。
人生最期に近づいてきて、この症状は病気なのか、老化なのか、見極めが大切です。

もし治せないのであれば、ここから先、治らない病気や障害と共にいかにその人らしい人生が続けられかということを、一緒に考えます。これが私たち在宅医療の仕事です。
寝たきりも認知症も人生の一部です。介護を受けることになっても「私、不幸じゃない」「認知症だって、楽しく生きる」。
そういう状況を準備しておくことです。

人は身体の老化と同時に、社会とのつながりも失われていきます。仕事を辞め、子どもたちも自立し、老老世帯で、いつかは一人になる。
人生の最終段階で生きたいように生きられない。
それは体が弱っているだけでなく、「私はこういうふうに生きていきたい」と理解してくれる人、支えてくれる人が周りにいない。
困った時に相談に乗ってくれる、やりたいと思った時に手伝ってくれる、そういった繋がりを最後まで維持すること。
これは介護では解決出来ない、みなさん自身の生き様ですね。

これまでどうやって生きてきたかで、最期が決まる。身体だけお医者さんに診て貰えば安心ではなくて、生活を豊かにするのは私たち自身です。
繋がりをしっかり維持して、認知症でも車椅子でも、行きたいところに行く、会いたい時に会える、食べたいものを食べられたら幸せですよね。
生活の質が高ければ、最期まで自分らしい尊厳を持って生きることができます。


今日本の救急医療は逼迫しています。東京では年間90万人が搬送されますが、この内65%が高齢者。
その搬送理由の55%は軽傷です。なぜこんなことが起こるのか?

夫婦二人と子ども二人の標準世帯は平成の時代には5%に割り込み、令和の標準世帯は高齢者単独世帯で、全体の3割。
一人暮らしのおじいちゃんが具合が悪くなって、掛り付けの先生に電話したら「本日の営業は終了しました」。
遠くの子どもに電話で「心配だね、病院行った方がいいんじゃない?」。
だけど免許は返納しているし、救急車を呼ぶしかない。こういった緊急搬送が増えているんじゃないかと思います。


私たちは全国に24箇所在宅医療の病院があり、医師は181人、常時8,000人を超える要介護の高齢者の方や末期がんの方を支えています。
首都圏に大体20箇所。何かあった時に24時間患者さんを受け付けます。
一年間で35,000件の緊急コール。我々がいなければ救急車を呼んでいますね。

これは都内救急出動数の15%に相当します。そして10,000人を更新します。
これは都内の病院が受ける救急車の約4割に相当する。つまり逼迫している緊急医療が、実は地域在宅医療でかなりの部分がカバーできるんです。
なぜなら高齢者の緊急搬送の55%が軽症だから。
病院に行く必要がない人が行かなくて済む。ちなみに我々は40分で駆けつけます。
救急車を呼んで診察受けるまでの所要時間とほぼ変わりません。

患者さんの家で何をするか。診断と治療です。ほとんどがスマートフォンで行えます。
エコーも出来る。在宅医療ではこういった機械があるので、救命の9割位は診断ができ、診断がついたら自宅で治療も可能です。
肺炎、定期的な輸血、がんで医療用麻薬を使う人もいます。これだけの治療が入院せずに自宅でできるようになります。
それだけ入院によるリスクが減ります。

日頃から、何かあったらすぐ病院ではなく、すぐ相談できるお医者さんをつくっておくことが大切ですね。

日本の年間医療費48兆円の内、60%を高齢者が使っており、その85%が入院です。
入院原因の50%が肺炎と骨折。肺炎で入院した高齢者の3人に1人は入院中に亡くなります。
退院しても、五段階しかない要介護度が一回の入院で平均二段階悪くなります。10日間入院すると、7年分の老化に相当する筋肉が落ちる。
この入院による身体機能低下、認知機能低下を、入院関連機能障害と言います。
肺炎で一回入院すると、平均120万円かかります。これだけお金をかけても全快して帰ってくる訳ではない。
もっと違うことにお金をかけたほうがいい。


みなさん、ぜひ今日学んでいただきたいのは、高齢者にとっては「入院そのものがリスク」ということです。
「入院できたら安心だ」じゃないんです。「入院したら大変」なんです。一日も早く退院しなきゃ。

私たちの患者さんは一人平均41日入院していたのが、在宅医療が始まったら、一人平均11日しか入院していません。
自宅でケアが整えば、最期まで入院せずに過ごすことが出来るんです。

みなさん人生の最期で治らない病気だと言われたらどこで過ごしたいですか?
家に帰って猫でも撫でながら過ごすかって思いますよね。
多くの人はそう思っていますが、現実には8割の方が救急搬送と入退院を繰り返し、病院で亡くなります。
こういう人生、僕は切ないなって思います。


歳と共に具合が悪くならないように日頃から考える。何か起こったら家に来てくれるお医者さんや看護師さんを予め捕まえておく。入院したら出来るだけ早く地域に帰ってくる。
なるべく入院しないで済めば、おうちで最後まで過ごすことができます。これが在宅医療の支援です。

 

96歳のおばあちゃんとカレーの話

心不全で入院して心不全は良くなりましたが入院中に肺炎を起こして、1週間食事止めで点滴治療。
やっとご飯食べて良いよとなって、また肺炎。2週間近くかかって、もともと元気に歩いていた人が退院の日には、寝たきり、ご飯食べられない。
どの先生からも「老衰だから諦めて下さい」「自宅でお看取りして下さい」と。退院した初日に私たち往診に行きました。
「体調はどうですか?」と聞いたら、悔しそうな顔して「私死にたくない」「もう1回カレーが食べたい」と。
「じゃあカレー食べられるように頑張りましょうか」。老衰で死ぬって人はカレー食べたいって言わないんですよ(笑)。
これは老衰じゃないなと思ったので、自宅で高濃度の栄養を打って、歯医者さんとリハビリ進めて。老衰で後1、 2週間で看取りと言われていたのに、この後おばあちゃん、3年半生きました。

【講演前半要旨】
後半及び全文をお読みになりたい方は、店頭にてお声がけください。

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「私はこれまで『治ることはありません』『お薬を飲み続けましょう』と言われていたのに、今こんなに元気になったんです!同じ病気の人に『大丈夫、あなたも元気になれるよ』って伝えてあげたいんです」というお客様の声から始まった、体験談を伝える「竹屋陶板浴だより」は16年、次回70号を迎えます。時代柄、体験談を掲載するのは難しくなっておりますが、これからもお客様の伝えたい、知りたいに少しでも寄り添えるお便りにしていきたいと考えています。
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